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Formula Hybrid 2026 XとMoTeC i2 Proを使って2026年 F1レギュレーションを徹底検証

前の記事でFormula Hybrid 2026 Xが2,000kWの回生をしていたり、
それがないと8.5MJ回生できないように思えたので
レギュレーションの深堀をしてみました

まず、MGU-Kからの回生量は瞬時最大350kWに制限されていることがわかりました

またなぜか部分負荷時に噴射できる燃料量もレギュレーションで記載されていました
また8.5MJ回生量できない場合のアクションも記載されていました

Formula Hybrid 2026 X走行データをMoTeC i2 Proで徹底検証

MGU-Kの回生は最大350kWと部分負荷に使える燃料噴射量について
Formula Hybrid 2026 X走行データをMoTeC i2 Proを使って検証しました

検証の流れは以下のとおりです
・MGU-Kでブレーキング時にエネルギーを回生するモデルの構築
・350kW制限した時の回生量の確認
・部分負荷時に燃料を追加噴射した時の回生量の算出

MGU-Kがブレーキング時にエネルギーを回生するモデルは
運動エネルギーと後輪の分担重量がキモです
ここでは車重768kg、後輪は0.54車重負担しているとし
車速の2乗を時間微分することで回生量を求めました

またブレーキング時のみカウントする、350kW以上は回生できない
ラップはじめから仕事率を積算するというFunctionを用いて回生量を求めました

Formula Hybridは全開出力時に0.035L/s燃料を噴射していることがわかったので
これが350kW出力(3000MJ/h)と仮定し、Lap中の発電量を算出することにしました

発電用に噴射できる燃料量はMoTeC i2の2D Tableという機能を使うことにしました

このTableのおかげで、下のグラフのような複雑な噴射パターンを再現することができました

検証結果 8.5MJ回生できないのでは?

MGU-K回生率350kW上限、FIA提示の部分負荷時の燃料噴射量では
6MJ程度の回生にとどまることがわかりました(8.5MJ上限)

このままだと
・ストレートエンドでリフトアンドコーストして充電する
・ブレーキを長くする(急ブレーキしない)
になりそうだす
またレギュレーションも言い訳を許す条文になっており、
サプライヤの思惑で混乱が発生しそうです

2026年開幕まで、目が離せません

F1 2026新レギュレーションとFormula Hybrid X 2026を検証

2025年も年の瀬、慌てて来る2026年のF1新レギュレーションの確認と
Formula Hybrid X 2026での再現性をMoteC i2 Proを使ってやってみました

レギュレーション変更の骨子は上のイラストの通りだと思います
あまり具体的な情報がなかったアクティブエアロと
オーバーライドモードについてはいろいろ調べてみました

MoteC i2 Proを久しぶりに使いました
Deployモード別のMGU-K出力を検証したかったので
Functionをいろいろ調べました
Chooseという関数を使うと、if文みたいな操作ができるので便利でした

Deployモードは「no deploy」「low」「balanced」「high」「qualify」「override」全6種類あります
それぞれのMGU-Kの出力特性を調べてみたのですが
車速に対して出力を変えるマップを持たせていることがわかりました

おおむねF1のレギュレーションに則った造りといえると思います

いっぽうで、MGU-Kの回生量が駆動量を大きく上回っていたり(前作も同様)
レギュレーションで定められている一周当たりの回生量を売和まれたり(前作も同様)
オーバーテイクボタンを押すと、いつでも350kW出力してしまう
という本家のレギュレーションの骨子に大きく反するモデリングも見つけることができました

まとめ

MoTeC i2を使ってAssetto CorsaのERSを調べてみたら、いろいろとおかしなところがあった

Assetto Corsaのテレメトリーアプリ(ACTI)とMoTeC i2を使い、クルマのいろんな情報が検証できる方法は前回紹介しました
今回はFerrari F1 SF70Hに実装されているEenergy Recovery System(ERS)について調べてみた結果を紹介したいと思います

私が気が付いたことは以下の三点です
・MGU-Kの回生量は120kW以上、1ラップあたり2MJを超える
・MGU-Kが発電と回生を同時に行えてしまう
・KERS Activationを作動させると140kW出力してしまう



ではどのようにして気が付いたのか紹介します
ACTIとMoTec i2の組み合わせで以下のデータを計測することができます


ERS系のデータで遊んでみましょう
下のグラフはRSS Formula Hybrid 2020でHot Lapで走行した時のデータです

ホンモノのF1のレギュレーションなどからすると
・KERS Input[%]はMGU-Kの駆動率
・KERS Depoyed Energy[kJ]はバッテリーの放電量
・KERS Charge[%]はバッテリーの充電率
を示していると推察されます

バッテリーからMGU-Kを駆動できるのは1ラップで4MJ
ただしMGU-H発電による駆動は無制限で可能
という近代Hybrid F1のルールが再現されていることがわかります
そしてここでひとつの発見があります
バッテリー充電率に着目すると4MJ消費したら97.5→32.8%なので
バッテリー容量は6.18MJであることがわかります

そしてもうひとつの発見が
F1のレギュレーションでは1ラップで充電できる量は2MJですが
Assetto Corsaの場合、無制限に充電できてしまうということです


またMGU-K Delivery : Charge / MGU-H mode : motorにしたデータを見ると
MGU-Kがバッテリー充電とタイヤ駆動を同時に行っていることがわかりました
これはモータ技術的にあり得ないことで、プログラムミスだと思っています


バッテリー容量を時間で微分すると電気の入出力[kW]が求められ
MGU-KやMGU-Hの電気回生力[kW]や
MGU-Kの駆動出力[kW]を求めることができます

MoTeC i2では既存のチャンネルの値を操作して新しいデータに変換することができます

Tools → Maths → Add Expressionで新しい関数を作ることができます

例えばバッテリーの充電量[MJ]は
バッテリー総容量[6.18MJ] x バッテリー充電率なので
下のような内容で表現することができます

MoTec i2の関数には時間微分の関数も用意されています
先ほど求めたバッテリー充電量[J]を時間微分すると
バッテリーの充放電率[kW]を求めることができます


下のグラフは走行時のバッテリーの消費電力を示しています
MGU-Kの駆動率が100%のとき、バッテリーの放電量は100kW程度
(F1のレギュレーションでは最大120kWまで出力できる)
MGU-Hの発電量は最大約45kWであることがわかりました


Assetto CorsaのボタンアサインにKERS Activationというボタンがあります
このボタンを押したときの挙動を調べてみました

ホンモノのF1では120kWに制限されているにもかかわらず
KERS Activateにすると140kWの駆動力が発生
していることがわかります


また減速時のMGU-Kの電気回生量を調べてみました
ホンモノのF1のレギュレーションでは
MGU-Kの電気入出力は120kWに制限されているはずなのですが
K Recovery 5でも瞬間的に約400kWもの回生が行われている
ことがわかりました
すなわち、本物のF1よりもAssetto CorsaのERSは
バッテリーを短期間で充電できてしまうシステムであると言えます


以上がアロワナが発見したAssetto CorsaのERSシステムの
現実のF1のレギュレーションと理論と異なる箇所になります

おさらいすると
・MGU-Kの回生量は120kW以上、1ラップあたり2MJを超える
・MGU-Kが発電と回生を同時に行えてしまう
 →本物のF1よりもバッテリー充電しやすいシステム

・KERS Activationを作動させると140kW出力してしまう
 →本物のF1よりもパワーが出ている

KERS Activationで140kW出力できる点は走行テクニックに応用できます
一般的にPower Unitの出力がラップタイムに
一番貢献するのが低速からの全開加速だと言われています

アロワナはMGU-K Delivery設定はKERS Activationさせない状態で
1ラップあたり2割ほどバッテリーを残す設定を選び
低速コーナーの立ち上がりでKERS Activationボタンを押して
ラップタイムを稼ぐようにしています

下のチャートはポルトガルのアルガルベサーキットの最終コーナーで
KERS Activateを使ったときと使わなかったときのタイム差を検証したものです
約0.2secほどラップタイム効果があったと考えています


MoTeC i2を使った検証、いかがだったでしょうか?

本物の実車レーシングチームも
このようなソフトウェアを使って検証していると想像します

今回はPU関連の情報を検証しましたが
将来的にはサスペンション、タイヤの検証をもとに
セッティングを変更することができるようになれればと思っています

もし、すでにこんな作業でセッティングしているよ
というコメントいただけると嬉しいです

Assetto Corsa Ferrari F1 SF 70HのHybridシステムについて

近代F1はいわゆるハイブリッド車両です
ここではAssetto CorsaのFerrari F1 SF 70Hを例に
どのようなシステムなのかを説明したいと思います

現在のF1のERS(Energy Recovery System)のレギュレーションは
・1.6L V6内燃機関(ICE)
・ターボチャージャ
・MGU-H(ターボ用モータ)
・MGU-K(加減速用モータ 最大120kW)
・バッテリー
で構成されています
MGU-Kによるタイヤ駆動は一周あたり4MJまで
バッテリーの充電は一周当たり2MJまでとされています
またMGU-Hによるバッテリー充電とタイヤ駆動については
一周当たりの制限は設定されていません

MGU-Kの駆動が4MJ、バッテリー充電が2MJということは
レースは毎ラップ駆動を安定させる必要があるので
毎ラップ2MJ駆動、2MJ充電
予選はアタックラップ4MJ駆動 2MJ充電、
さらにチャージラップ1周 2MJ充電で4MJまでチャージする
という使い方が基本になります
またMGU-Hの使い方は
タイムアタック時はMGU-Hの発電電力はMGU-K駆動に
チャージラップは発電電力をバッテリー充電
というのが使い方の基本になります

 ちなみに4MJとは? エネルギーの量で956kcal
 120kWとは? パワーの強さで163馬力
 1kWを1秒で消費するエネルギー量は1kJなので
 4MJは120kW 33.3secで消費されるということになります

以上を踏まえたうえでAssetto CorsaのFerrari F1 SF 70Hの
コクピットを見てみると

バッテリー容量と一周に使える電力量が再現されていることがわかります
中身をテレメトリーデータで解析すると
厳密には本当のF1のレギュレーションとことなるところもありますが
今回の説明では割愛します

つづいて以下の各デバイスの操作について説明します
(内容はこちらのWebサイトの情報です)

・MGU-K Recovery
・MGU-K Delivery
・MGU-H Mode
・Engine Brake

MGU-K Recoveryは
ブレーキング時のMGU-K発電量を0-10の範囲で
バッテリー充電に割り当てる量を調整します
普通に考えると最大限バッテリー充電に割り当てたほうが良いのですが
MGU-Kは後輪に接続されているため
ブレーキバランスが変わることにより、制動距離が短くなる
というデメリットがあると説明されています
ちなみに私はその差が体感できず
いつもフル充電の MGU-K Recovery : 10に固定しています


MGU-K DeliveryはどのようにMGU-Kを駆動するか という調整です
車速とギアの組み合わせで駆動量が変わりますが
Delivery Modeの順で駆動力が強くなると考えてよいです
(Charging : 駆動せず Hot Lap:最大駆動)


MGU-H Modeはタービンからの発電をMGU-Kの駆動に使うのか
バッテリーの充電に使うのかを切り替え調整します


Engine Brakeは車両ブレーキング時にあえて燃料を噴射する量を調整します
燃料を増やすと排ガスの流れが増え、ダウンフォースが増えると説明されています
Engine Brakeが少ない場合(1)、燃費が悪いがダウンフォースが増え、
多い場合(13)、燃費が良いがダウンフォースが少ない ということになります


以上のMGU-K Recovery、MGU-K Delivery、MGU-H Mode、Engine Brakeの設定を
どのように使い分けるかというと下の図のようになります



走っているときのモードを画面表示するためには
画面右にマウスを移動し、下の図のボタンを押して設定をしてください


F1はいろんなボタン設定が必要ですね
私はFanatec Podium DD1のステアリングに
下のようなボタンアサインをしています


以上がAssetto CorsaのFerrari F1に実装されているHybridシステムなのですが
色々調べてみると実際のレギュレーションと異なる点があることを発見しました

それらについては、また、別の記事で紹介したいと思います。