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MoTeC i2を使ってAssetto CorsaのERSを調べてみたら、いろいろとおかしなところがあった

Assetto Corsaのテレメトリーアプリ(ACTI)とMoTeC i2を使い、クルマのいろんな情報が検証できる方法は前回紹介しました
今回はFerrari F1 SF70Hに実装されているEenergy Recovery System(ERS)について調べてみた結果を紹介したいと思います

私が気が付いたことは以下の三点です
・MGU-Kの回生量は120kW以上、1ラップあたり2MJを超える
・MGU-Kが発電と回生を同時に行えてしまう
・KERS Activationを作動させると140kW出力してしまう



ではどのようにして気が付いたのか紹介します
ACTIとMoTec i2の組み合わせで以下のデータを計測することができます


ERS系のデータで遊んでみましょう
下のグラフはRSS Formula Hybrid 2020でHot Lapで走行した時のデータです

ホンモノのF1のレギュレーションなどからすると
・KERS Input[%]はMGU-Kの駆動率
・KERS Depoyed Energy[kJ]はバッテリーの放電量
・KERS Charge[%]はバッテリーの充電率
を示していると推察されます

バッテリーからMGU-Kを駆動できるのは1ラップで4MJ
ただしMGU-H発電による駆動は無制限で可能
という近代Hybrid F1のルールが再現されていることがわかります
そしてここでひとつの発見があります
バッテリー充電率に着目すると4MJ消費したら97.5→32.8%なので
バッテリー容量は6.18MJであることがわかります

そしてもうひとつの発見が
F1のレギュレーションでは1ラップで充電できる量は2MJですが
Assetto Corsaの場合、無制限に充電できてしまうということです


またMGU-K Delivery : Charge / MGU-H mode : motorにしたデータを見ると
MGU-Kがバッテリー充電とタイヤ駆動を同時に行っていることがわかりました
これはモータ技術的にあり得ないことで、プログラムミスだと思っています


バッテリー容量を時間で微分すると電気の入出力[kW]が求められ
MGU-KやMGU-Hの電気回生力[kW]や
MGU-Kの駆動出力[kW]を求めることができます

MoTeC i2では既存のチャンネルの値を操作して新しいデータに変換することができます

Tools → Maths → Add Expressionで新しい関数を作ることができます

例えばバッテリーの充電量[MJ]は
バッテリー総容量[6.18MJ] x バッテリー充電率なので
下のような内容で表現することができます

MoTec i2の関数には時間微分の関数も用意されています
先ほど求めたバッテリー充電量[J]を時間微分すると
バッテリーの充放電率[kW]を求めることができます


下のグラフは走行時のバッテリーの消費電力を示しています
MGU-Kの駆動率が100%のとき、バッテリーの放電量は100kW程度
(F1のレギュレーションでは最大120kWまで出力できる)
MGU-Hの発電量は最大約45kWであることがわかりました


Assetto CorsaのボタンアサインにKERS Activationというボタンがあります
このボタンを押したときの挙動を調べてみました

ホンモノのF1では120kWに制限されているにもかかわらず
KERS Activateにすると140kWの駆動力が発生
していることがわかります


また減速時のMGU-Kの電気回生量を調べてみました
ホンモノのF1のレギュレーションでは
MGU-Kの電気入出力は120kWに制限されているはずなのですが
K Recovery 5でも瞬間的に約400kWもの回生が行われている
ことがわかりました
すなわち、本物のF1よりもAssetto CorsaのERSは
バッテリーを短期間で充電できてしまうシステムであると言えます


以上がアロワナが発見したAssetto CorsaのERSシステムの
現実のF1のレギュレーションと理論と異なる箇所になります

おさらいすると
・MGU-Kの回生量は120kW以上、1ラップあたり2MJを超える
・MGU-Kが発電と回生を同時に行えてしまう
 →本物のF1よりもバッテリー充電しやすいシステム

・KERS Activationを作動させると140kW出力してしまう
 →本物のF1よりもパワーが出ている

KERS Activationで140kW出力できる点は走行テクニックに応用できます
一般的にPower Unitの出力がラップタイムに
一番貢献するのが低速からの全開加速だと言われています

アロワナはMGU-K Delivery設定はKERS Activationさせない状態で
1ラップあたり2割ほどバッテリーを残す設定を選び
低速コーナーの立ち上がりでKERS Activationボタンを押して
ラップタイムを稼ぐようにしています

下のチャートはポルトガルのアルガルベサーキットの最終コーナーで
KERS Activateを使ったときと使わなかったときのタイム差を検証したものです
約0.2secほどラップタイム効果があったと考えています


MoTeC i2を使った検証、いかがだったでしょうか?

本物の実車レーシングチームも
このようなソフトウェアを使って検証していると想像します

今回はPU関連の情報を検証しましたが
将来的にはサスペンション、タイヤの検証をもとに
セッティングを変更することができるようになれればと思っています

もし、すでにこんな作業でセッティングしているよ
というコメントいただけると嬉しいです

MoTeC i2を使ってAssetto Corsaの走行データを検証する!

この記事ではMoTec i2という実車でも使われているテレメトリソフトをAssetto Corsaと連携し、Assetto Corsaの走行データを検証する方法を紹介します

作業の手順は以下のとおりです
・Assetto Corsa Telemetry Interface(ACTI)というアプリをインストールする
・ACTIの作動をAssetto Corsaで有効化する
・実走データをACTIで収集する
・MoTeC i2をインストールする
・MoTeC i2で収集したデータを検証する

Assetto Corsa Telemetry Interfaceをインストールする

まずはこちらからAssetto Corsa Telemetery Interfaceをインストールします

ダウンロードしたファイル構成は以下のとおり、Installマニュアルに記載されている内容でインストールをしてください

マニュアルは英語なので簡単に説明を記載します
1. 「acti.rar」を C:\user\(ユーザ名)\Documents\に解凍する
2. 「acti_trig_cntrl.rar」を「Assetto Corsa」のインストールされているフォルダに解凍する
(”C:\Program Files(x86)\Steam\steamapps\common\assettocorsa”)
3. Assetto CorsaでACTIの作動を有効化する

続いてAssetto Corsaの走行モードでACTIの設定を行います
画面右側のアプリ一覧のなかから「ACTI Trigger Control Settings」をクリックして
ACTI Trigger Control Settingのパネルを画面に表示します

ACTI Trigger Control Settingの設定は以下のようにします
・acti.exeの保存場所の入力
・Trigger 0のIP Address : localhost
・Auto LaunchとAuto Connectを有効化
最後に「Save Setting」をクリック
これで各走行スティントごとにデータを計測するようになります

MoTeC i2で走行データを検証する

つづいて計測したデータをMoTeC i2というソフトウェアで検証します
MoTeC i2とは、
実車両のサードパーティECUのメーカーである
MoTeC社のECU開発用のデータ分析ソフトウェアです
ACTIに同梱されているMoteC i2 Pro 1.0.21をインストールしていきます
MoTeC社の最新バージョンではないですが
初めての方はこちらのProjectファイルを使えるのでお勧めです

1. 「mi2_pro_1.0.21.0030.rar」を解凍して
 「mi2_pro_1.0.21.0030.exeをダブルクリックしてインストールを実施

2. 「acti_i2_projects.rar」を解凍して
  C:\user\(ユーザ名)\Documents\MoTeC Projectsに解凍する

MoTeC i2を起動し、“ACTI Circuit Base” にあるProject.mtcprjを開きます
(*.mtcprjファイル:各データをどのようなグラフにするか指示したファイル)

Assetto Corsaから取得されたデータを”File>Open Log File”で開く
“acti.exe”が保存されたフォルダ内の”telem”フォルダに保存されている
複数スティントのRun Dataを同時に読み込むことも可能です



Project.mtcprjファイルに指示されたフォーマットで各データがグラフ表示される


グラフ化するラップデータは読み込んだDataの中から選択します


デフォルト以内のオリジナルのグラフを作成することができます
たとえば、グラフ種類とx,y軸のデータを選択して任意のグラフを作成することもできます


タイヤ、ブレーキ、エンジン、サスペンションなど多くのデータが計測されています


各Lap Time差はグラフ上で「右クリック→Display→Show Variance」で表示されます


オリジナルのグラフを駆使することで
ERSのセッティングがタイムにどのような影響を与えるのかを検証することもできます


まずは習うより慣れろ、いろいろ試してみてください
こんなことできないかな?ということは大概できてしまう良いソフトです

アロワナ的にはこのシステムを駆使して
サスペンションのセッティングが出来るようになりたいと思っていますが
なかなかその域には到達できずにいます。。。

Formula HybridのERSについてはいろいろ検証することができたので
その結果は別の記事で紹介しようと思います。